ブックレビューGems & Gemology, Spring 2016, Vol. 52, No. 1

書籍:Cartier Royal High Jewelry and Precious Objects(カルティエロワイヤル・ハイジュエリーと貴重なオブジェクト)

Jo Ellen Cole

Cartier Royal High Jewelry and Precious Objects(カルティエロワイヤル・ハイジュエリーと貴重なオブジェクト)表紙
François Chaille著、260頁、ハードカバー、出版: Flammarion S.A、パリ、2014年、US $125.00

光沢紙、美しい写真、そしてかなりの重さのある、Cartier Royal High Jewelry and Precious Objects(カルティエロワイヤル・ハイジュエリーと貴重なオブジェクト)は、ひと目で豊かでカラフルな卓上用大型本とわかります。 しかし、これはそれ以上のものです! この隔年出版されるカタログは、2014年シーズンに向けて作られた100点のジュエリー作品のフォトギャラリーに、王室ジュエリー、そしてカルティエという会社のこれまでの存在を通した王室ジュエリーとの関係について物語風の歴史を併せて構成されています。

カルティエの168年の歴史は、ナポレオン・ボナパルトの姪である有力者、プリンセス・マチルドがカルティエのジュエリーハウスから1859年にアイテムを購入し始めて以来、王室や貴族と繋がりを持ち始めました。 英国王室もカルティエのサービスを楽しみました。 1901年のビクトリア女王の死後、1902年のエドワードVIIの戴冠式を見越して、カルティエの本部に注文が殺到しました。 1904年に、エドワードの配偶者、アレクサンドラ女王は、カルティエを英国宮廷の公式サプライヤーとして称号を授与しました。 西ヨーロッパで最も輝かしい名門一族の数々に供給するだけでは満足せず、カルティエは大公妃Maria Pavlovnaの励ましで、1907年にロシアを訪れました。 その年の秋と冬の2ヶ月の間に、同社は皇帝、皇帝妃、そして他のロシア宮廷のメンバーの注目を集めました。 このビジネスは最初は試案でしたが、2年後、カルティエはロシア宮廷の公式サプライヤーに任命されました。 1917年のロシア革命まで、彼らはロシア貴族の大部分への宝石のサプライヤーを務めていました。

19世紀後半から20世紀前半の時期に、ヨーロッパの王室に人気を高めると同時に、カルティエの「ガーランド」スタイルが発展しました。 王族と一般市民は同様に、この特有なフォームに高い評価を与えました。 この時期の宝石のセッティング用のプラチナの使用は、軽快で繊細さを込めて形付けることのできる硬質金属の能力を利用した、この会社の革新的な鋳造技術が影響のひとつとなっています。 この無限に輝く繊細なスタイルは、エドワード朝時代と分類されたもの、現在は、ボザール時代と分類されるものと似ています。

1911年にJacques Cartierは、宝石の購入と裕福なインドのマハラジャとのコネクションを持つ目的でインド亜大陸へ旅をし、ルビーカボション、天然真珠、そしてダイヤモンドがプラチナにセットされた、パティアーラのマハラジャのために作られたチョーカースタイルのネックレスなど、カルティエがこれまでに生産した中で最も豪華な作品をいくつかを生産しました。 カラーストーンの審美眼はこの時期に始まり、それはカルティエスタイルの特徴の証となっています。 世界で最も裕福な数々の一族とのコネクションは、この会社の評判を上げ、映画スターという、新しい形のロイヤリティを得ることとなりました。 エリザベス・テイラーはカルティエの熱烈なファンで、有名なラ・ペレグリナ真珠を二連の天然真珠チョーカーにマウントさせました。このチョーカーには、ダイヤモンドとルビーでかたどった四つ葉がところどころに入り、さらにダイヤモンドとルビーで炎をかたどったペンダントコネクターがついています。 マール・オベロンもカルティエの信者でした。 彼女の宝石は彼女の演技の才能と同じぐらい有名で、最も注目すべき作品は、多数の小さなダイヤモンドがアクセントになった、ドロップバロックエメラルドのネックレスでしょう。

非常に優れた宝石は、これらの世界的な宝物にインスピレーションを得たカルティエジュエリーの章に記載されています。 Hope diamond(ホープダイヤモンド)、Pasha diamond(パシャダイヤモンド)、そしてWilliamson Pink diamond(ウィリアムソン・ピンクダイヤモンド)を含む、非常に多くの有名な宝石が、この会社の手を通りました。 カラー宝石もその価値を見出され、Berenice emerald(ベレニスエメラルド)、スペインのマリー女王の478.68ctのファセットカットされたブルーサファイア、そして、合計201カラットの完璧な深紅のビルマ産ルビーを119個をあしらったNawanagarネックレスがあります。

この本の写真は素晴らしく、身に付ける芸術品である宝石の作品にみなさんが見いだしたいとお考えの特徴すべてにハイライトを当てています。 稀少な記録写真は、文章により意味合いを加えられ、積極的なカルティエの顧客の個性を読者が視覚化できるようにしています。 この本にひとつだけ批判があるとすると、それは印刷です。 年寄りの目には、非常に小さく薄いグレーの字に焦点を当てることが難しいので、将来この点が改善されることを願います。 この本はカルティエ、王室の宝石、宝石の歴史、またはジュエリーデザインに興味のある方への優れた選択です。

Jo Ellen Coleは、30年以上に渡り、宝石業界に従事しています。 2002年以来、Cole Appraisal Services(コール・アプライサル・サービス)にて査定、鑑別、および博物館の展示相談サービスを提供しています。

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